野球を中心に活躍されているスポーツジャーナリストで時折テレビでもお見掛けする小林信也さんが語られる野球の魅力の「真髄」です。
ワタクシはアラフィフなんで子供のころはスポーツと言えば野球で、ワタクシが小学校に上がる前の年に長嶋さんが現役を引退されたということで、日本におけるプロ野球の“全盛期”はリアルタイムでは体験できなかったのですが、それでもまだ“世界の”王貞治選手が現役で王さんのホームランには心を躍らせたものです。
今や、サッカーなど他のスポーツの選択肢が増えて、野球の相対的な地位が低下したと言われますが、小林さんは野球の魅力が低下したように見えるのは、そういった外的な要因だけではなく、野球自体が全盛期の根源的な魅力を失っていることを指摘されています。
小林さんが日本のプロ野球の最も幸せな瞬間のひとつとして、1959年の天覧試合における長嶋選手のサヨナラホームランを挙げられていますが、あの時の天皇陛下が退席する前に、何とか野球の魅力の真髄を見せようとした真摯さこそが野球人気を支えていたんだということを示唆されています。
現在では、勝利至上主義だったり、某球団のトップによる球界の支配だったりと、純粋にスポーツとしての野球を愉しめない状況が野球への興味を削いでいることを強調されており、そういった不透明性の高まりによる斜陽は、高度経済成長から転落して行った日本社会とも重ね合わせて見て居られて、非常に興味深いご指摘だと感じました。
そんな中で野球がその魅力を取り戻すためには、武道を想起させる一対一の真剣勝負をクローズアップすることを提唱されています。
まあ、却って辛気臭くなって若い人からソッポを向かれるんじゃないか、といったツッコミも無くはないと思うのですが、今の中途半端な状況よりはマシかな、とも思えます。
いずれにせよ、ボチボチ野球界の人たちも、このゆでガエル状態に気付かないと取り返しのつかないことになりそうです。