長らく国際機関に従事されてきた方が語られるグローバルな環境での“働き方”です。
この本の著者は、法務省勤務から国連職員に転身されて、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を始めとする様々な国際機関での業務に従事されてきた方なんですが、28年間の国際機関での勤務経験を語られます。
実はワタクシ自身も、学生時代に外交官を志向して外務専門職員を受験したり、卒業後は明石康さんが国連事務次官だったこともあって、一時期国連職員を志向した時期もあるのですが、大学院卒業相当の専門性が必要だったり、留学経験が必須だったりということであきらめざるを得なかったのですが、そういう時期を思い起こしながらこの本を読みました。
国連及び関連の国際機関の業務に従事するような人と言えば、最低でも修士レベルの専門性を満たすようなエリートでないとなれないのですが、そういったエリートでありながら、特に滝澤さんが長く従事されたUNHCRでは、難民の救済が任務ということもあり、かなり過酷な環境で職員自ら汗をかくことを求められるということで、そんなエリートにしてみれば、有体に業務を知ってしまうと従事を尻込みしてしまう人も多いんじゃないかと思いきや、多くの人が崇高な志を抱いて取り組まれているということです。
さらには国際機関の予算自体が限られていることもあって、現地での事業推進に必要となる予算も職員自らの調達を求められることも少なからずあるということで、机上の知識だけではとても対応は難しそうで、実践での高度なスキルが求められるかなりの人材でないと務まらないようです。
ワタクシが国連職員を志向していた昔から日本は国連の分担金に見合うだけの職員数を満たすように求められながら、今に至るまでその要請を満たすに至っていないのですが、なかなか日本人が国際機関でのニーズに見合わない事情も紹介されているのですが、そういうレベルの人材の育成を志向して行かないと、国際機関に限らず、その他のグローバルな場での活躍もおぼつかないのかも知れません。