企業の内幕を描く小説などを手掛けることで知られる江上さんが、これまでの作品の取材とご自身の銀行勤務の経験を踏まえて、日本企業の様々な病巣を語られます。
人事や派閥や出世など、ありとあらゆることに潜む”病”について紹介されているのですが、江上さん自身が日本企業の中でも最も官僚主義的な銀行に勤務されていただけあって、ありがちな”病”も”倍返し!”みたいな感じです。
安倍政権で”忖度”が次々と問題を引き落としていますが、それって最も”日本的”なモノで、「なんとかうまくやっておけ!」の一言で、犯罪行為だろうが何だろうが、できる限りの手段でなんとかしてしまうモノで、上司はそんなことをしろとは指示していないと言ってしまえば、それ以上責任を問いようがないということで、日本全体での病巣だったということが分かります。
ただそういう「空気を読む」的なことって、コロナ後の日本企業において、そのまま通用し続けるのかと言うと、かなりの確率で淘汰されるはずで、良きにつけ悪きにつけ、透明性が向上して、グローバルスタンダードに少し近づいていくのかも知れません。
ワタクシ自身、日本を代表する旧態依然たる企業勤務なのですが、この本に書かれているほどのことはないと思っているのですが、ワタクシが新卒として入社したバブル末期は銀行は憧れの的で成績がトップレベルじゃないと行けなかったのですが、こんなところに行っていたら、ワタクシのような跳ねっかえりは早々に退場させられていたことでしょう…