団塊フリーター計画/島内晴美

 

 

  この本は2008年に出版された本で、ちょうどその頃、いわゆる”団塊の世代”と言われる年代の方がリタイアされる時期で、その方々をターゲットにしたリタイア本です。

 

 それから干支を一回りしまして、随分と高齢者の雇用を取り巻く状況は変わってきたはずなんですが、この本を読んでいると、ソフト面と言うか、リタイアを控えた個々の労働者の悩みって、あんまり変わっていないんだなぁ、ということで、そういう施策・政策があんまり効果を出してこなかったんでしょうね…

 

 この頃は、ようやく定年延長についての問題意識が出始めてきたころで、ごく一部の大企業、それもかなり先進的な取組をされている企業で、そういう動きが出始めたに過ぎない頃で、60歳でリタイアしてどうしよう…ということなんですが、反面”人生100年時代”と言われる昨今程には寿命も延びてはいなくて、リタイア後はゆっくりしたいな、という人も今よりも格段に多かったようです。

 

 で、この本はフリーター≒フリーエージェントなんて、ちょっと意味の分からないことを言い出すので、途中でメインテーマに関わるところは読む気がしなくなってしまいましたが、この頃は今よりも、主体的にリタイア後のキャリアを考えようという意識を持つ人は、圧倒的に少数だったはずなので、勧めていることの正否はともかくとして、マインドセットとしては今なお有効だと思えますし、今をもってしてもなお、そういう意識を持つ人は少ないんじゃないかと思います。

 

 まあ、60年生きてきたジジイが素直に他人のいうことを聞くとも思えませんが、少しでも長く元気でいるためには、会社をリタイアした後だからこそ主体的に人生に取組むことに意義があるのかも知れません。