日本のWeb媒体でも時折寄稿されているサイモン・クーパーさんが経済学者と組んで、サッカーを取り巻く様々なトピックを経済的な観点を交えて語るという趣旨の本です。
タイトルの『「ジャパン」はなぜ負けるのか』というのは、日本代表に限らず、各国について、その国の人口、GDPなどの経済指標、代表の経験値などのパラメータを勘案した上で計算される各国の代表に期待される戦績と実際の戦績を比較してどうなのか、ということについて語られていて、日本代表はもうちょっと勝っていていいはずなんだという内容が紹介されています。
クラブの予算と戦績との関係なんかは興味深いところですが、やはり予算規模が大きいクラブ程、長期的に見ればよい戦績を収めている傾向が強いということなのはナットクが行くところなのですが、クラブの収益と戦績については、ほぼ相関関係が見られないというのはかなり意外なところでした。
非常に興味深かったのが、サッカーのW杯と自殺率についての研究で、自国の敗退とともに自殺をしてしまうファンについてよく取り沙汰されているので、かなりネガティブな印象がありますが、実はW杯の開催年は他の年に比べて有意に自殺率が下がるということで、意外な貢献をしていることを紹介されています。
最近でこそ、雑誌の記事などで日本でもサッカーと経済的な関連が語られることもありますが、翻訳書でページ数が多くなりがちだというのはありますが、サッカーと経済の関係で400ページ近くの本ができてしまうところに、サッカーの母国であるイングランドの文化としての浸透度合いが伺えて、うらやましい所です。