二〇二五年、日中企業格差/近藤大介

 

 

 このブログでも何冊か著作を紹介していますが、どちらかというと”中国寄り”とされる中国ウォッチャーの近藤さんによる、なかなか衝撃的な著作です。

 

 まあ、このままだと数年先には、日本企業の多くは中国企業の下請けになってしまう、という右寄りの方々にとっては、耳を覆いたくなるというか、真っ向から否定したくなる内容の本です。

 

 この本は2018年の出版で、バイデン政権が意外と尖鋭的な対中強硬策を取っているということでかなり状況が異なる部分があるのはあるので、あと4年先に日本企業の多くが中国の下請けをやっているという図が、別の意味で描きにくくはなっているのですが、この本で取り上げられているアリババやテンセントなどの先進的な中国企業の取組を見てみると、あながち”中国寄り”だから…ということで切り捨てられないところがあります。

 

 というのも、前々から中国企業のスピード感というのが取り沙汰されてきましたが、その反面かなりザツな面があったのは否めないのですが、AIの進化により、そういう部分がかなり改善されてきているということもあり、かつてなら日本企業と組んで精緻なところを補おうという中国企業も少なからずあったようなのですが、最早日本企業を頼らなくてもよいレベルにある企業も少なくないということです。

 

 ましてや、現在の中国の激しい競争環境を生き残るということで、ぬるま湯の日本での競争環境とは雲泥の差があり、その結果は…というと、残念ながら自明のことと認めざるを得ません…

 

 まあ、そういう生き馬の目を抜くような生活をしてまで…という人が、今の日本では多いかも知れませんけどねぇ…