値上げの技術/辻井啓作

 

小さな会社・お店のための 値上げの技術
 

 

 中小企業を中心に、「値上げ」に特化した支援をされてきた方が教える「値上げ」のコツについての本です。

 

 中小企業だけではなく、そこそこの規模の企業であっても、これといった武器のない企業は売上を増やそうとして値下げをしてしまいがちなのですが、それに対してライバル企業が値下げで対抗して来たら、取れる手立てはさらなる値下げしかなくなって、ジリ貧になってしまうのは、多くの経営者もアタマでは分かっているんだけれども、ついつい手を付けてしまう「禁断の」手立てだということです。

 

 この本では「値上げ」が如何に経営に取って有利になるかということをコンコンと説かれていますが、「値上げ」をしたら売上が減ることを恐れる経営者が多いとは思うのですが、かつての牛丼チェーン間の競争のように、余程同質の競合企業が多くない限り、それほど売上は落ちないことが多く、却って利幅は大きくなることが少なくないことを指摘されています。

 

 ただ、単純に今売っているモノをそのまま値上げをすると、さすがにあまりいい影響を与えない可能性が高いですが、何らかのサービスの拡充など、それなりに付加価値を向上させる手立てをとれば、そのコストを考えても利益を向上させるような施策になることを紹介されています。

 

 しかも、現在の日本では大体の企業が顧客の値ごろ感よりも安くモノを売っていることが多いということもあり、キチンと自社が扱う商品・サービスの価値を訴求することによって、それに相応しい値付けをすることは、あながち絵空事ではなさそうです。

 

 それだけの蓋然性があるにも関わらず、なかなか経営者は値上げに踏み切れないワケですが、色んな方策はあるんですがなによりも値上げをするのに必要なのは、経営者の「勇気」であることも指摘しておられますが、こういう本に背中を押してもらうのも一つの手かもしれませんよ!?