読売新聞の記者を経て、読売ジャイアンツの球団代表を務められ、当時FAを中心とした選手編成から転換し、育成中心のチーム編成で一定の成果を収めたモノの、帝王ナベツネにクーデターを企て、鎮圧されて表舞台を去ったことで知られる方の、球団代表時代に雑誌等に寄稿されたモノを集めた著書です。
この本が出版されたのは2010年で、その頃は既に若手を叱って育てるという考え方は時代遅れになりつつあった時期だったようですが、旧世代としては叱られなければ、心底まで理解できないこともあるんじゃないかということで書かれたようです。
この本は主に、野球の指導者から選手に向けられたコトバを集められたモノで、必ずしも叱責ばかりではないのですが、如何にして選手に成功してもらおうかということでココロを尽くされた上でのコトバが集められているように感じます。
そういう指導者のコトバが届くこともあったでしょうし、虚しくなってしまうこともあったでしょうけど、指導者としてはやはり選手に対する思い入れというのが、ベースとなる資質であるようです。
大体プロのコーチが選手を叱ろうとするのは、ある程度行く末に期待を持ってのことが多いでしょうし、その選手が何かを気づいてくれるために、時にはキビシいコトバをかけ、時には突き放し、時には懇願するように訴えるといったことを紹介されています。
まあ、スポーツの指導者だけでなく、あらゆる分野で指導者と言われる人に取って、他者を導く上で、どこかヒントになる問いかけが詰め込まれているようにも思えます。
叱られるというのは、多くの人に取って、必ずしも快いことでないことが多いはずですが、叱ってくれるというのは、ある程度以上に相手に対して思い入れや期待があるからこそであり、単純に表面的に叱られるのがイヤっていうだけで、相手のいうことを拒絶するのはホントにもったいないことだと思えますし、こういうコミュニケーションを今後も大事にしてほしいなと思うのは、やっぱりワタクシが古い人間だからなんでしょうかね…