がんばらないけどあきらめない/鎌田實

 

 

 元々別のタイトルだった鎌田先生のエッセイ集を文庫化にあたって、ヒット作である『がんばらない』と『あきらめない』の威光にすがらんかのようなタイトルにされたモノのようです。

 

 この本も『がんばらない』同様、鎌田先生ご自身が関わられた、かなり厳しい境遇に置かれているにも関わらず前向きに人生を生き切ろうとする人たちが紹介されています。

 

 鎌田先生ご自身が終末期医療に携わられてきたからか、深刻な病状の方のことが取り上げられることが多いのですが、そんな状況で、生存は絶望的だったとしても、些細なことでもいいので何か目標をもって、それに向かって生きることで、その期間の「生」を充実させることができ、結局は命を落とすことになっても納得感を持って人生を終えることができるということは、相当な意義があることだと示唆されているように感じます。

 

 健康で、あまり生死を意識しない人は、ついついザツな生き方をしてしまう向きもあるんでしょうけど、ちょっとそういうギリギリの状況に置かれた時に自分がどういう風に反応するんだろう、と考えてみるだけでも少しは人生を充実させることのキッカケになるのかも知れないなぁ、とこの本を読んでて感じました。