フラリーマンの心理を読む/渋谷昌三

 

 

 「フラリーマン」という、仕事を終えて会社を出た後、さしたる用もないのに寄り道してから帰路につくサラリーマンのことを指すコトバを2007年の著書で初めて使ったの生みの親が、2018年時点での「フラリーマン」の生態と、家に帰って来させるための方策を語られた本です。

 

 この本の著者である渋谷さんは社会心理学を専門にされているということで、なかなか家に帰ろうとしないサラリーマンを研究されていたということなのですが、「フラリーマン」のコトバを産み出した頃は、大体50歳代以上の「団塊の世代」と言われる人たちに多く見られたということなのですが、最近では30代位の若手のサラリーマンでも「フラリーマン」となることが多くなってきているようです。

 

 そういう人たちにとって、コロナ禍の在宅勤務はさぞツラいでしょうし、そのような状況だからこそ、「フラリーマン」となってしまう原因を克服する意義もあるかも知れません。

 

 ワタクシの若い頃は、どう考えても忙しいはずのない人がやたらと遅くまで会社に残っているのをよく見ましたが、そのうち用もないのに会社に残ることも難しくなって、「フラリーマン」になったんでしょうけど、要は家に居場所がないとか、家に居づらいとかということで「帰りたくない」から寄り道をしてしまうということのようです。

 

 特に若手のサラリーマンは、最近は奥さんも仕事をしながら家事をしていて、自分に家事負担が降りかかってくるのを避けたかったり、そういうワンオペ家事を担う奥さんからの白い目を避けたかったりするという理由があるのかも知れません。

 

 ということで、奥さん側からのダンナさんを家に帰らせて、あわよくばそれなりの家事を担う戦力にしようというのがこの本の目指すところなのですが、個人的には、そんな状況になるくらいならちょっとは家事をすればいいのに…と思いますが、ワンオペになるまでの過程で様々なことが絡み合って、コトはそう単純じゃないのかも知れません。

 

 大体オトコの人と言うのは、これが自分のミッションだと思ったら、かなり”使える”はずなんで、最初は色々言いたい頃はあると思うのですが、まずはグッとガマンしてオダてて、それに乗っかってきたら少しずつ守備範囲を増やしていくという戦略を紹介されています。

 

 特に子育て世代であれば、子どもを使ってウマくダンナさんを引き入れて行った方が、長い目で見てよい家族になるはずなんで、そういうダンナさんをお持ちの奥様方には強い味方になる本かも知れませんよ!?