中高生向けの本って、大体かなり論点が練られたモノが多くて、ある分野について端的に知識を得ようと思ったら、是非とも中高生向けの本を手に取ることをおススメするのですが、特に池上さんの本は狙い目です。
ということで、池上さんによる政治についての本なのですが、大体政治に関する中高生向けの本というと、制度面のことを中心に語ってしまいがちで、大体はそのせいで読み手である中高生は興味失ってしまいがちですが、さすがは池上さん、そういう弊には陥っていません。
ウチの長女は、女の子にしては珍しく日本史は割と得意らしいのですが、公民になると途端に興味がわかないらしく、取ってくる得点の落差にオドロきますが、概ね中高生は公民分野は面白くないようですが、それはどうしても制度面を中心に語らざるを得ない部分があるからなのかも知れません。
この本は、池上さんが中学生を相手に行った授業をベースとして、生徒さんからの質問をありがちな疑問として盛り込んで、本にまとめられたということで、かなり中高生目線を盛り込んだモノなんじゃないかな、と思います。
まずは、なぜそもそも政治と言うモノが必要なのかと言うところから語られるのですが、川に橋をかけるということを例に取って、そのために必要になるおカネはどう集めるのか、とか誰がそういうことをできる人たちを連れてくるのかとかというところから、政治の必要性を語られていて、さらにそれが警察や消防の業務につながって…といった風に語られていて、最初ぼんやりとしているけれども、生活に密着したイメージを描かせておいて、段々と具体的な実像を肉付けしていって、具体的に鮮明なイメージを提示するといった感じで、理解しやすいんじゃないかと思います。
そういう風に語られた上で、若い人たちの投票行動の重要性を繰り返し強調されており、特に投票率の高いベルギーの事例や、高齢者の投票行動とシルバー民主主義と言われる現象を紹介しつつ、棄権することのリスクを指摘されています。
まあ、池上さんみたいなセンセイがいたら…というのは単なるないものねだりですが、せめてこういう本を読んでくれたらなぁ、とそれもないもねだりか…