お寺の日本地図/鵜飼秀徳

 

 

 最近宗教づいているこのブログですが、元々ヨメの寺社仏閣巡りに端を発したモノで、本屋でこんな本を見つけたので手に取ってみました。

 

 この本は47都道府県それぞれ1つずつ名刹古刹とされるお寺を紹介するという趣向で、京都だろうが奈良だろうが、最も寺の数が少ないという沖縄だろうが等しく1つだけを選ぶという相当ハードルが高い企画となっています。

 

 わざわざ新書でそういう趣向の本を作ろうとするだけに、長野県の善光寺香川県善通寺など、大多数の人が賛同するようなお寺も多少は紹介されてはいますが、全体的にかなりシブメの選択が多く、京都だったら清水寺金閣寺、奈良だったら東大寺法隆寺といった超有名な寺を紹介するつもりはあまりないようで、冒頭で選考の基準を8つ示されていますが、それなりの由来や歴史を重視しているようです。

 

 ただ単純に個別の寺院の由来などを紹介されるだけではなく、例えば関東だったら曹洞宗、北陸だったら浄土真宗名刹が多いことや、明治維新時の廃仏毀釈では新政府の主要人物の多かった鹿児島、宮崎、高知で徹底的な寺院の破壊が進められて未だに寺院数が少ないことと言った周辺の状況も紹介されていて興味深い所です。

 

 青森県の河原地蔵尊でのイタコとの共存や熊本県正覚寺キリシタンとの融合、長崎県興福寺の「唐」寺などの不思議なコラボで知られる寺や、最古の寺院と言われる奈良県飛鳥寺、最古の仏像の善光寺などの歴史的な寺院など、紹介されている寺の由来がバラエティに富んでいるのもポイントと言えそうです。

 

 著名な寺院もそれはそれで惹きつけられるところはありますが、こういう深い由来のあるものを紹介されるとそそられてしまいますが、遠いところが多いので、困ったもんです…(笑)