アテネ、北京オリンピックの平泳ぎ100m、200mで金メダリストとなった北島康介さんが、北京オリンピックを終えて、ロンドンオリンピック出場を目指すまでをご自身のコトバで語られた本です。
中学生の時に平井コーチに見いだされて、わき目も振らずオリンピックを目指し、シドニーでの入賞を経て、アテネでの金メダルに至るワケですが、その後北京まではそれなりの葛藤を感じながらも連覇を目指すということで、固い決意で取り組まれて実現されたのですが、その後、それまでの取組を振り返りたいということで、一旦競技から離れられた際の心境などを語られています。
モチロン、平井コーチと二人三脚で取り組まれたオリンピック連覇はまぎれもない偉業なのですが、ただ”それしかない”ことに、ふと疑問を抱き、かつ過度に注目されてしまいプライベートもロクに確保できない状況にも苦しみ、そのまま引退ということもアタマをかすめながら、改めて競技に取組むのかどうかは決めないまま、アメリカに渡られたということです。
自分がそれほど注目されない自由な環境に身を置いて、縛りのない生活を送る中で少しずつやっぱり泳ぎたいというキモチになり、それを徐々に競技レベルを上げていく過程が描かれているのですが、いろいろ迷いつつも、そんな中での北島さんのセルフコントロールの巧みさに驚嘆させられます。
結果として、オリンピック三連覇には届かなかったモノの、ご自身の信念に基づいて取組まれてオリンピック出場にまで取組、「康介さんを手ぶらでは返せない!」というバタフライの松田さんの名言で知られるメドレーリレーでのメダルは、北島さんにとっては平井コーチに導かれて得た連覇と少しも遜色はなかったんじゃないかと思います。
やはり超トップレベルのアスリートのメンタルと言うのはこんなにもスゴいモノなのか、ということを痛感させられる本です。