すべてを手に入れたってしあわせなわけじゃない/鈴木涼美

 

 

 『「AV女優」の社会学』などの女性にまつわる様々なルポルタージュを手掛けられている鈴木涼美さんが、周囲から見ると割と恵まれた境遇にある女性の”満たされなさ”について語られた本です。

 

 この本ではキャリアや結婚、子作りといった女性が直面するライフステージの様々なイベントについて、A子とB美という相反する選択をした女性それぞれの感じ方について紹介されています。

 

 ただ”相反する選択”とはいうモノの、この本で紹介されるA子とB美は双方とも、そこそこ以上に美人だったり、学歴もそれなりだったり、キャリアもバリバリで、結婚もして子供もいてという、傍から見ると割と恵まれた人生を送っているように見えるにも関わらず、何かしら満たされないモノを感じているという状況が共通しています。

 

 そういう属性を持たない人から見ると、ビミョーにイラッとしてしまいかねないような気もするのですが、それなりに恵まれているからこそ満たされないという側面もあるのかも知れません…

 

 ただこの本に出てくる人たちって、大多数がかなり”女性”性を前面に出されている人が多いのですが、そういう部分が女性としての生きにくさにつながり、それが満たされなさにつながっているのかな、という気もします。