月に3冊、読んでみる?/酒井順子

 

 『負け犬の遠吠え』で社会現象とも言える反響を引き起こしたことで知られる酒井順子さんが、あまり読書をしない層をターゲットとして、東京新聞中日新聞の読書欄に2012年から今なお継続されている『3冊の本棚』をまとめた本です。

 

 その時々のお題を元に3冊の本を選んで紹介されているのですが、さらにこの本ではその「お題」を、「生きる」「女」「男」「性」といった割と大きな括りでカテゴライズしてテーマごとにまとめられています。

 

 タイトルの「月に3冊」とあるのは、日頃あまり読書をしない層に対して、ご自身が何か悩んでいたり、ちょっと興味があったりといったことについて、それを手掛かりにして何か1冊手に取ってみて、その本がキッカケに悩みだったり、興味だったりに何らかの解決があったりすると、読書に対する関心が深まることもあるということで、そういう時にもうちょっと読んでみようという意欲に応えられるようにという意図もあるのかも知れません。

 

 特に酒井さんがお得意とされている女性論的なものを集めたセクションが興味深いのですが、割と昭和の頑固オヤジに苦しめられるような本を数多く紹介されているのが印象的で、そういうところから、随分マシになっていると考えるのか、より女性の地位を向上させるための方向性を考えるキッカケとするのか、いろいろと考えさせられるところがあるような気がします。

 

 また”鉄子”として知られる酒井さんらしく、「旅・鉄道」というセクションがあり、敬愛されている宮脇俊三産の著書を取り上げられているところに、個人的にはくすぐられます。

 

 直接的ないわゆるハウツー本ではなくても、何か自分の置かれたシチュエーションで、シンパシーを感じることのできる本を見つけられたら、読書にハマるキッカケになるのかも知れませんし、この本の中からピタッとハマる本が見つけられるかもしれませんよ!?