処女の道程/酒井順子

 

 

 『負け犬の遠吠え』でブレイクし、その後もジェンダー論に関する多くの著書を出版されている酒井さんが、主に女性の貞操観念の変遷を追った内容の本です。

 

 元々日本では割と性にオープンな傾向が強かったということで、貴族階級の記録が中心だったとはいえ、フリーセックス的な風潮もあったということで、その後も安土桃山時代に布教に訪れたカトリックの司教があまりに性におおらかな風潮に苦言を呈した記録が残っているように、そういう傾向が継続していたようです。

 

 その流れが大きく変わったのが明治期以降で、キリスト教国の影響を強く受けて女性の貞操観念が強調されるようになり、不思議な気はするのですが極端なまでに「処女性」を重視する方向に振れて行ってしまいます。

 

 一部女性の人権向上に大きく貢献した平塚らいてうなど、女性の性的な自由を訴えた人はいたモノの、戦後に至るまで男性は性的に自由を謳歌するものの、女性には「処女性」を求めるという不平等が長く支配していたワケです。

 

 高度成長期以降、徐々に女性でも性的な自由を求め、男性の側からも処女性を重視する傾向が弱まって来てはいたものの、決定的となったのはバブル期で、「anan」などの女性誌が「セックスで、きれいになる。」という特集が組まれるようになったのが決定打となり、婚前交渉を特異視する風潮はほぼほぼ払しょくされたようです。

 

 ただ、そういう女性も男性と同様性的な自由を手に入れたと思いきや、昨今ではそういうところを超えて、「草食系男子」が取り沙汰されるようになったのと同様、女性の側でも「したいとはおもわない」という境地にまでなっているようです。

 

 まあ、「し」ようが「し」まいが、ミョーな偏見を受けることも無く、自身が望む選択をできるようになったというのは、ジェンダー論的には望ましいところで、少子化という問題はありますが、大きな流れとしてジェンダーギャップが小さくなったことはいいことなんでしょうね…