女性ジャーナリストとしての草分けとして知られる櫻井さんが半生を振り返った自伝的な著書です。
昨今は安倍元首相シンパの極右の論客としてのイメージが強い櫻井さんですが、ワタクシなどは、1980年代にキャスターとして出演されていた『きょうの出来事』での櫻井さんを思い出しますが、当時女性を現代的な意味でのキャスターとして起用するということはかなり斬新だったようで、そういった状況での軋轢なども語られています。
そういった抜擢を受けた背景として、櫻井さん自身が外資系メディアにおいて女性ジャーナリストから、欧米的なジャーナリズムの薫陶を受けたことを挙げておられて、そういうバックボーンがあったからこその抜擢であったと同時に、16年の長きに渡りキャスターを務められた所以は、そういう姿勢への視聴者の支持があったからとも思えます。
また、櫻井さんというとお母様の晩年に熱心に介護に取組まれたことでも知られていますが、介護への具体的な取組については深くは言及されておらず、そういう内容については『迷わない。完全版 107歳の母を看取って (文春新書 1351)』を手に取った方がよかったのかも知れません。
安倍政権の台頭後は毀誉褒貶の落差の激しい櫻井さんではありますが、女性ジャーナリストとしての功績は輝かしいモノがあり、そういう側面から見なおしてみる価値はあるのかも知れません。