中国経済の属国ニッポン/加谷珪一

 

 

 なかなかに刺激的なタイトルでネトウヨさんではなくても黙っていられない人が少なくないかもしれませんが、そういう方々も淡々とエビデンスを積み上げる加谷節に、読み進めるにつれ沈黙を強いられるかもしれません…

 

 『貧乏国ニッポン』で最早日本は富裕な国ではないんだよ、ということを反論の余地のないエビデンスとともに語り、『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』で、そんなことになってしまった原因を語られたのですが、この本ではそんな日本の近未来像について語られます。

 

 基本的に2030年前後には中国がGDPアメリカを凌駕し、世界最大の経済規模の国になるということで、これについては多くの経済指標が時期の前後はあるにせよ、実現を予測していることだということで、アメリカや日本の中国の封じ込めの悪あがきに関わらず、ほぼ確実にそうなるということです。

 

 そうなった後に日本はどうなるかということなのですが、中国とアメリカに加えてEUが経済のもう一つの核となるということで、世界は3つの経済ブロックが並び立つことになるということです。

 

 じゃあ日本はどうするかということなのですが、今はアメリカに寄り添うカタチを取ってはいますが、基本的にそういう経済ブロックというのは地理的に近いところに属することにならざるを得ないということで、好むと好まざるにかかわらず中国の風下に立たざるを得ないということのようで、無策でいるとこのタイトルにあるように「属国」みたいなカタチになるようです。

 

 技術立国やものづくり大国などと言ってはいるものの、近未来の要素技術であるAIを始めとする主要な技術要素は既に中国の技術レベルから大きな後れを取っており、時代遅れの技術を誇っても仕方がないということで、日本がどういうところで中国に一目置かれるかということが今後の生き残り戦略になるということで、ミョーなプライドは早いうちに忘れて、国家を挙げて戦略に取り組んで行く必要がありそうですが、おおよそグランドデザインを描くことの苦手な国民性で、何ができるんでしょうかねぇ…