マインド・コントロール/紀藤正樹

 

 

 昨年の安倍元首相銃撃に端を発した旧統一教会に纏わる報道で一躍名を馳せた、カルト宗教被害者救済を手掛ける弁護士である紀藤正樹さんの約10年前の著書です。

 

 約10年前の著書と言いながら、既に旧統一協会マインド・コントロールについても取り上げられており、旧統一協会に関する報道の解説でワイドショーなどに登場する鈴木エイトさんや元参議院議員有田芳生さんなど、長年に渡り苦闘されていることが伺えます。

 

 旧統一協会関連の問題で一躍クローズアップされるようになった「マインド・コントロール」というコトバですが、必ずしも違法性のあることばかりではなく、例えば親が子どもを受験に駆り立てたり、スポーツのコーチが協議への取り組みを促したいというのも「マインド・コントロール」の一形態であり、昨今はあまりイメージがよくないですが、プラスの側面もあるワケです。

 

 ただ、かつてのオウム真理教マインド・コントロールの手法で多くの信者を破壊活動に駆り立てたように、違法性を帯びた活動に悪用される例が多いのも確かなようです。

 

 この本ではマインド・コントロールの手法から、そこからの救済を図る「脱・洗脳」まで、かつてワイドショーをにぎわした、元オセロの中島知子さんやX-JAPANのYOSHIK1さんの事例なども交えて紹介されます。

 

 旧統一協会の問題で取りざたされたいわゆる霊感商法ですが、ああいう現象って、アメリカなど多くのキリスト教国では起こり得ないモノなんだそうで、日本のカルト規制のユルさだけではなく、日本人の宗教観のユルさにも根差すところがあるということで、そういうところをウマく突いているということです。(ただ、アメリカのカルト宗教では凄惨な集団自殺などが起こっているようですが…)

 

 そういうカルト宗教からの救済はかなり凄惨なようで、救済に取組んだ側が逆恨みを買うような場面も多々あるようで、かなり慎重に対応する必要もありそうです。

 

 それにしても、日本でもフランスのような明確な基準でのカルト規制は喫緊の課題だとは思うのですが、旧統一協会とズブズブだったとみられる自民党はマジメに取組むんでしょうか…