英語は決まり文句が8割/中田達也

 

 

 タイトルだけ見ると決まったフレーズだけ覚えれば、手っ取り早く英語を話せるようになりますよ、と捉える向きも少なからずおられるとは思うのですが、この本は割と硬派というか、コアとなるターゲット層はそんなに英語のスピーキングスキルが高くない日本人の英語に慣れていない、ガチのネイティブスピーカーとゴリゴリと英語でコミュニケーションをする人がターゲットになっているんじゃないかと思われます。

 

 そういう人になぜ「定型表現」を習得することを勧めるのかと言えば、まず1点目は、ある程度効率的に英語を学習できるということは感覚的にも理解できると思うのですが、どちらかというとガチのネイティブスピーカーに誤解されないような英語を話す/書くことができるということの方が意義としては大きいのではないかと思われます。

 

 というのも「大きい」という意味の英語を話そう/書こうとするのに、"big"を使うのか"large"を使うのか、というのは多くの日本人が分かりにくいところなんじゃないかと思うのですが、どちらを使うかによって確実に受け取る側のイメージは異なるはずで、じゃあどちらを使えばより自分の意図に忠実に伝わるのかということを考えると、それぞれのコトバのそもそもの意味というものをかなりディープに把握する必要があり、日々ネイティブスピーカーとコミュニケーションを図る必要のある人が、数限りない単語に対してイチイチそう言うことをしているワケには行かないということで、ネイティブスピーカーが慣用的に使用している表現をそのままパクるのが最適解になるんじゃないか、ということです。

 

 この本では、こういう場合にどういう表現を使うべきなのかということを調べるWebサイトなんかも、かなり詳細に紹介されており、かなり英語を実務として使う人にとって有用な情報が満載で、もうちょっとそういう人を意識したタイトルの方が良かったんじゃないかという気はしますが、敢えて編集者が手に取ってもそれほど役に立つとは思えない初心者も食いつくようなタイトルをつけて売上を広げようとしたのでしょうか!?