ドイツ誕生/菊池良生

 

 

 『ドイツ誕生』とのことですが、この本の主役は「ドイツ」というコトバすらない10世紀の神聖ローマ帝国のオットー大帝だということで、かなり世界史に疎いワタクシとしては「え?」というところなのですが、ヒットラーの頃に「ドイツ第三帝国」という言い方をされますが、その文脈でいうとオットー大帝の神聖ローマ帝国が「ドイツ第一帝国」に当たるんだそうで、ドイツの国民性のベースの一つとも位置づけられるということです。

 

 なぜその後のドイツにあたるところにある東フランク王国の王であったオットーが神聖ローマ帝国の皇帝にのし上がっていったのか!?ということになるワケですが、当時ローマ帝国ローマ教皇の権威との連携が重視されていて、東フランク王国の国王であったオットーの父ハインリヒ一世の頃からイタリアへの侵攻などの拡大を進めており、オットー大帝の在位時にイタリアを征服したことから神聖ローマ帝国の皇帝として認められることになったということです。

 

 その後、東フランク王国の流れをくむ王家が「ドイツ」と呼ばれるようになったということで、やはりドイツの起源となったのがハインリヒ一世からオットー大帝だということですが、その後も度々拡大的な志向を露わにして、そのたびにイタイ目に合ってきたドイツの現在のヨーロッパにおける隆盛を「第四帝国」と呼ぶ向きもあるようで、実は今だツメを隠しているだけなのかもしれません…