「挫折」というチカラ/原晋

 

 

 2022/2023シーズンは残念ながら無冠に終わりましたが、青山学院大学を有数の駅伝強豪校に育て上げた原監督が語る「挫折」の活かし方です。

 

 原監督ご自身も故障で選手としてのキャリアに終止符を打ち、営業マンとしてのキャリアを築きつつある中で、青山学院大学の駅伝監督の就任を求められ、元々の契約期間であった3年目でのクビの危機を乗り越え、就任5年目で箱根駅伝への出場、その6年後には箱根駅伝初優勝に導き、その後4連覇など、押しも押されぬ競合へと導いたワケですが、そのカテとなったのが「挫折」だとおっしゃいます。

 

 昨今は、親がかなり手厚く子どもを育てようとする傾向が強いこともあって、できる限り失敗を避けるような志向が強いのですが、人生の中で失敗を一切しないということはありえないことであって、そういう順調に人生を歩んできた人がいったん失敗すると再生できないくらいのダメージを受けてしまうことが多いようです。

 

 ただ、そういう「挫折」を経て、それを乗り越える努力をして再生してきた人は、何倍も「大きな」人になれるということもあって、原監督自身も選手をスカウトする際に、それほど選手として成果にこだわらず、むしろ才能はあるのに思ったようにそれを伸ばしてこれなかった「挫折」経験のある選手を好まれた結果、抜きんでたチームを形成することにもつながったという側面があるようです。

 

 親としては、自分の子どもが失敗しているところを見るのはツラいところはあるのですが、親としても底をグッとこらえて、より大きくなるためのチャンスだというくらいに思って、再チャレンジするのを見守るくらいの度量が必要なんだということを痛感させられます…