現代カタストロフ論/金子勝、児玉龍彦

 

 

 安倍政権にかなり辛辣な姿勢をとられていたことで知られる経済学者の金子先生が医師の方と、コロナウィルスと経済の循環について語られます。

 

 カタストロフというと”大惨事”と受け止められることが多いと思うのですが、必ずしもマイナスのイメージというワケではないようで、どちらかというとこの本では「大変革」という意味合いが強いようですが、やり方しだいによっては”大惨事”になりかねない岐路にあるようです。

 

 経済をカジられた経験がある方は経済循環にいくつかの波があったことを覚えている方も多いと思いますが、その最大の波である50年周期の経済循環とされるコンドラチェフの波からすると、ここ数年が大転換期にあるということと、スペイン風邪の大流行以降100年ぶりのパンデミックであるコロナ禍で、否が応でも転換期を実感させられる状況にあるようです。

 

 前半では政府や自治体のコロナ禍への対応の拙劣さを痛烈に批判されていて、感染拡大当初のクルーズ船での感染コントロールの失敗に始まって、PCR検査やワクチン接種の当初の対応について、著しく科学的な観点に欠けた厚労技官の対応が感染爆発の一因となったことや、大阪府の医療体制削減などの対応による全国最悪の死者数につながった維新の会による府政の対応を再三痛烈に批判されています。

 

 併せて歴代政権の経済政策の後手ぶりにも痛烈な批判をされていて、不良債権問題を始めとして、大きな課題を先送りし続けたことが昨今の長期停滞状況を招いたことを、「出口のないねずみ講」として痛烈に非難されています。

 

 そこで、どうやればこのカタストロフをプラスの方向で迎えることができるのか、ということなのですが、カギとしてITとエネルギーについての政策転換を指摘されていますが、手を付けられるのかどうかは甚だ疑わしいところですよね…