コロナ禍において、「自粛警察」や「マスク警察」といった同調圧力による軋轢が取り沙汰され、感染爆発の防止に役立ったとはいうものの、日本社会の生きづらさを露わにした原因と言える「同調圧力」について分析された本です。
劇作家の鴻上尚史さんも、ジャスト『同調圧力』を出版されるなど、コロナ禍以降、同調圧力への注目が集まっていますが、同調圧力というのは社会の「閉鎖性」「同質性」「未分化」によって強化されるということで、ムラ社会的な”世間”がハバを利かせる日本社会においては、まさに格好の
こういう同調圧力というのは、コロナ禍において感染爆発の抑制要因に挙げられたり、震災時の相互扶助のように、プラスに働く側面というのはモチロンあって、戦後の工業社会においては、その共同体意識が集団での意識向上につながり高度経済成長をもたらした成功要因の一つとなったワケですが、バブル以降においては、加谷珪一さんが『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』でおっしゃっていたように、IT化の進展に伴うビジネスモデルの転換の阻害要因となったと共に、イノベーションが生まれにくい土壌ということもあり、日本経済停滞の元凶になっているのではないかと指摘されています。
そんな中でコロナ禍によるテレワークで機能不全に陥った企業も少なからずあったようですが、中には積極的にそういう状況を活用して新たなワークスタイルを模索する向きもあったようですが、なかなか広まっては行かないようです。
ただ、こういった閉塞感が蔓延した社会では活発なイノベーションの発露は見込めそうになく、無策な政界、財界の下ではそのうち”失われた100年”になってしまうのかも知れません…