昨今、「実践的な」経済学として俄然注目を集めるようになった行動経済学ですが、このブログでも『行動経済学の使い方』などの著書を紹介している第一人者である大竹センセイの、最新の知見を踏まえた行動経済学活用の在り方を紹介された本です。
特に、この本で注目されるのはコロナ禍における行動経済学の応用で、第一人者たる大竹センセイは政府の委嘱を受けて、コロナ感染拡大防止の施策に行動経済学の知見に基づく支援をされていたということで、この本ではその際に駆使したノウハウについても語られています。
これまでも著書の中で、多くの人々が新たな利得を得るよりも、すでに持っているモノを失うことに拒否反応を示すことが多いということで、そういう性癖を踏まえて、コロナ感染拡大防止の施策への支援を行ってきたようですが、特にワクチン接種を促すための広報活動についても試行錯誤されたようで、結果として、多くの人々がワクチン接種を考えていることを知らしめることが最も効果があったということについては、同調圧力のキツイ日本らしいところですが、そういう志向を踏まえた上でのアナウンスが有効だったと実証したことは行動経済学の有用性を広く実証したといえるでしょう。
その他にもテレワークにおける行動経済学的な生産性の分析など、かなりナットク感の高い、興味深い分析が数多く紹介されていますので、単に読み物としても面白いですし、人を動かすということについてのロジカルなアプローチとしても優れて実用的でもあるので、そういう必要性のある方は是非一読の程を!