行動経済学の使い方/大竹文雄

 

 

 ここ数年「行動経済学」というコトバを耳にするようになったという方が少なからずいらっしゃると思うのですが、この本はその「行動経済学」の基本的なコンセプトとその具体的な活用の現状について紹介されている本です。

 

 元々経済学というのは議論を単純化する上で「合理的経済人」モデルという、すべての情報を持ち合わせた上で常に”合理的”な判断をするという”ありえない”仮定の下に理論を展開していて、ミクロ経済学をカジラれた方は思い当たるフシがあると思うのですが、そういう人間ありえへんやろ!?とツッコミたくなることが多いワケです。

 

 以前行動経済学の草分けともいえるダン・アリエリー博士の『予想通りに不合理』を紹介しましたが、人間というのは得てして”不合理”な選択をしてしまうワケで、そういう自然な人間の選択の性癖を前提にモノを考えた方がいいんじゃないか!?という考えの下に展開される経済学です。

 

 そういう行動経済学の重要なコンセプトが”ナッジ”といって、人間の選択行動を促すキッカケみたいなもので、悪用される危険もあるのですが、”合理的”な判断を促すようにもできるということで、計画的に”ナッジ”を設計される事例を多々紹介されています。

 

 よく知られているのが、休暇の申請の書類で、休暇を申請させるのをデフォルトにするのではなく休暇を取らないことを申請させるようにすることで有給休暇の取得率が格段に向上したという事例が紹介されていて、そういう”ナッジ”をウマく埋め込むことによって、対象者が意図した行動をとってくれるようにすることで、物事をスムーズに進めることが可能となるようです。

 

 まあ、ちょっと怖い部分はあるのですが、仕事を進める上でこういう”仕組み”を知っていると有利にコトを進められるようになるのかも知れませんよ!?