朝日新聞朝刊に連載されている『地球防衛軍のひとびと』で知られる漫画家のしりあがり寿さんが語るマンガの「描き方」です。
デビュー当初、結構ヒップな人々から絶賛されたことで知られるようになったしりあがりさんで、結構シュールな作風が印象的だった記憶があり、新聞の4コママンガの連載を手掛けると知った時には、大丈夫!?と思ったのですが、2002年の連載開始からかれこれ20年以上経った今日も連載を継続しているということもあって、シュールなフレーバーを残しつつも、万人受けするほのぼのしたところを見せているところには感慨を禁じえません。
この本は前半でマンガの表現方法について語られていて、後半では漫画家としての半生を辿ったバイオグラフ的な側面もありますが、数々の著名人を輩出した多摩美術大学出身、かつ卒業後はアサヒビールで広告を手掛けていたということもあり、ああいうシュールな作風ながらも、実はかなりロジカルかつ戦略的なアプローチをとられていることに結構オドロキます。
プロになるくらいの漫画家だったら当たり前なのかもしれませんが、読者層のターゲティングから、そこにどういうアプローチをするかということをキチンと練った上で、しりあがりさんのデビュー当時数多くみられたヘタウマな作風を活かした上でターゲットとする読者層にアプローチする戦略は、長く生き残った漫画家として、やはりサスガだとうならされます。
この本で芸術関連の本を取り上げる際に、常々、芸術って実はかなりロジカルで戦略的なモノなんだという言ことを再認識させられていますが、この本は改めてそれを痛感するモノで、芸術を志す若い人たちには、こういうところを認識しておいてもらいたいモノです。