ちょうどいいわがまま/鎌田實

 

 

 諏訪中央病院の名誉院長の鎌田先生が語られる、プチわがままのススメです。

 

 かねてから『がんばらない』などムリをしない生き方を提唱される著書を出版されている鎌田先生ですが、人間関係においても、ついつい目の前の相手のことを慮る挙句、自分を押さえつけてガマンを重ね、どこかストレスを感じたり病んだりする人は少なくないことだと思います。

 

 でも、実はその目の前の相手も、それ程そういう気遣いを求めていないことも多々あるようで、結局はもう少しだけ「わがまま」になった方がお互いにキゲンよく過ごせるんじゃないか、とおっしゃいます。

 

 この本の中で、終末期にある方が思い切って自宅での最期を望んだところ、家族との親密な交わりの中での最期を迎えることができ、お互いに後悔なく最後の時間を過ごせたという事例が紹介されています。

 

 確かに交わる相手を尊重することは大事なことではありますが、それが過ぎて自分を押し殺してしまうのは、ある意味本末転倒だと言える部分あって、交わる相手にとってもあまりいい気がしないところもありますし、その相手だけでなく自分の大切にしてあげることも同じくらい大事なことで、相手にも自分にもバランスを以って気遣いすることの重要性を思い起こさせてくれる本です。