相手の身になる練習/鎌田實

 

相手の身になる練習 (小学館Youth Books)

相手の身になる練習 (小学館Youth Books)

  • 作者:鎌田 實
  • 発売日: 2021/04/01
  • メディア: 新書
 

 

 まあまあ久しぶりの鎌田先生の本なんですが、こちら先日紹介した樺沢紫苑さんの『極アウトプット』もそうなんですが、今年の4月にスタートしたばかりの中高生向けの本に特化した『小学館YouthBooks』というシリーズの1冊なんですが、その他にも同時に鴻上尚史さんや和田秀樹さんといった選りすぐられた書き手が中高生をターゲットにしたシリーズということで、今後にも期待したいところです。

 

 コロナ禍では、コロナに感染した人をバッシングしたり、自粛警察となって”ルール”を守らない人を糾弾したり、最近では公園呑みを始めたりと、とかく自分のことばかり前面に押し出してしまう風潮が顕著になってしまいましたが、そういった中で、少しだけでも目の前の人を尊重するようになれば、もうちょっと住みやすい世の中になるのになぁ、ということで鎌田先生はこの本を書かれたようです。

 

 鎌田先生は、ご自身が長らく病院の運営に携わっていることもあって、どうしたら患者さんが少しでもラクになるだろうかとか、お医者さんや看護師さんなどのスタッフの方が気持ちよく働けるだろうかということにココロを砕いてこられて、日本中から入院を希望する患者さんが集まる様な病院にされてこられたということですが、そういうご経験や、さだまさしさんと主宰されているボランティアを手掛ける高校生を支援されているプロジェクトのことにも触れられていて、災害時の高校生のボランティアとしての活躍を紹介されていたりもします。

 

 ただ、この本に紹介されている事例というのは、かなりリッパなモノが多いので、ちょっと引いてしまう人もいるかもしれませんが、ホンのちょっとしたことであっても、例えばモンクを言っても全然責められるような状況ではない場合でも、ちょっと相手に配慮することで思わぬ譲歩を得ることができるんじゃないかということもあるので、感情に任せて発信してしまう前に、ちょっとだけ相手の状況をかんがえることで、随分住みやすく楽しい世の中になるんじゃないか、ということを思い出させてくれる本でした。