正義とは何か/森村進

 

 

 法哲学者が語られる「正義」です。

 

 この本を手に取った時、内容的にはほぼ想定通りだったのですが、法哲学者が執筆されたということで、ちょっと意外な気もしたのですが、「正義」から規範として「強制」すべきモノが「法」になるということで、考えてみれば当たり前なのですが、「法」とすべき「正義」はどのようなモノなのかを考えさせられる内容となっているのが印象的です。

 

 古代から近代に至るまでの、プラトンだったりアリストテレスといった哲学者から、ホッブス、ロックといった近代の政治思想の基礎を築いたとも言える思想家など脈々と「正義」を語られてきた歴史があるワケですが、それぞれの細かい思想の内容について触れられてはいるのですが、当たり前のようにかなり観念的な内容なので、ワタクシのアタマはフリーズしてついていくのが難しいところがあって、ここでは言及を避けたいと思います…(笑)

 

 ただ、やはり「正義」というのはかなり相対的なモノがあって、世の中の状況によってコロコロ変わるみたいで、宗教的な正当性だったり、中には殺人を否定するというような普遍的に見える「正義」もありますが、やはり多くの人に「正義」と思ってもらえるような「正当性」が必要だということで、世につれカタチを変えるモノだということは認識しておいた方がよさそうです。

 

 それにしても、そういう世の中の移り変わりとともに法体系も変わっていかなくてはいけないということで、我々有権者としてもそういう部分に関心を寄せなくてはいけないんだろうな、と思いつつも、そういうことってなかなかできていないよなぁ、と感じた次第でした…