先日紹介した『歴史の読み解き方』で、最近磯田センセイが「史観」といってもいいような見解を展開されていましたが、この本も同様に古文書を封印して、徳川幕府の在り様と崩壊の要因について語られます。
徳川幕府が260年も続いたのは、発足当初の精緻な制度設計が功を奏したという側面があるようで、特に大名の統治において、かなり苛烈な支配をされたということがあったようです。
例えば、継子がいなかったり、築城などの理由で容赦なく改易をした事例があったり、祭祀の江戸駐留や参勤交代といった支配が挙げられますが、ただ、当初から薩摩や長州など外様の雄藩に対して、発足当初の大きな戦を避けることを優先したのか、こういった施策を徹底できなかったことが結局は徳川幕府崩壊につながったということですが、まあ、260年ももったという気もしないでもありません。
その他にも、徐々にそういう施策の徹底が緩んでいったということのようですが、その大きな要因の一つとして、幕閣の人材登用があるというのは意外な気がしますが、それだけ精緻なヒエラルキーに依拠していたということのようですが、やはり精緻であればあるほど、制度疲労は避けがたい部分はあるんじゃないかと思います。
今回も歴史のメカニズムみたいなモノを遺憾なく披露されていて、かなりロジカルでナットク感の高いモノですので、歴史にそれほど興味がない人でも、わかりやすいモノなのではないかと思います。