ずるい暗記術/佐藤大和

 

ずるい暗記術―――偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法
 

 

 偏差値30そここそで行ける大学も無いと言われていた劣等生が編み出した暗記術で、ついには司法試験をパスして弁護士にまでなられた秘訣を紹介します。

 方法論としては過去問でどんな問題が出ているのかを見て、こういう問題にはこう答える、ということを把握してから、その部分が参考書でどのように取り上げられているかを確認するというやり方だそうです。

 ワタクシもホンの一時期試験の出題側に回った経験があるからわかるのですが、出題側としてもどんな問題を出そうかと検討する時にやっぱり前例は気になるということで、結局は過去問からそんなに逸脱した問題を出すのには相当の勇気が必要です。

 だから過去問にしっかり取り組んでいれば、その単元のキモは概ね把握できるはずです。

 しかも内容がわからなくてもとりあえずこんな問題があって、それには「こう答える」んだと言うお作法を覚えてしまえば、学校の試験や資格試験なんてそんなに多くのパターンがあるワケではないので、概ね7、8割の得点を取るのはそんなに難しいことではなく、それだけ取れれば、まず間違いなく「合格」できるということになります。

 確かに試験に合格するという意味では、最短距離を行く最適の勉強法だと思いますが、思考力や問題解決能力の向上という意味でどうなんでしょうね…

 

真田幸村の凛とした生き方/野中根太郎

 

真田幸村の凛とした生き方 −志と知恵と仲間力−

真田幸村の凛とした生き方 −志と知恵と仲間力−

 

 

 最近『超訳孫子の兵法』などの古典や歴史を題材とした自己啓発的な本で人気の野中さんによる真田幸村礼賛本です。

 去年の大河ドラマ真田丸』の放映が決定してすぐ放映に間に合うように書かれた大河便乗の1つなんでしょうが、ワタクシは大河ドラマを一年見届けてから手に取りました…(笑)

 何が元ネタなのかわからないのですが、真田幸村は日本人の間で最も人気の高い歴史上の人物の一人だということなんですが、その人気は「義」の殉じた潔い生き様だとされており、その後の武士道を形成する礎となったとまで言われているようです。

 この本では真田幸村の略歴と書簡などに残された幸村自身の言葉を元に「凛とした」生き様を追うワケなのですが、多少“盛り過ぎ”感は無きにしも非ずなのですが、『真田丸』ロス軽減の一環として手に取って『真田丸』を反芻してみてはいかがでしょうか?

 

一流の指導力/立花龍司

 

 

 日米の野球界において、コンディショニングコーチとして活躍された立花さんによるコーチングに関する本です。

 「コーチング」というと最近はビジネスの世界でも取り沙汰されるようになっていますが、立花さんの提唱するコーチングと言うのは、日本のプロ野球において旧来から行われていた押し付け型の“コーチ”ではなくて、選手の意志を尊重し考え方を引き出す、ビジネスの世界での“コーチング”に近い方法論を提唱されています。

 旧来型のように押し付けてやらされるよりも、自らの気付きを元に実践する方が、ナットク感もあってか、圧倒的にパフォーマンスがよくなるということです。

 コンディショニングコーチということで、カラダの方ばっかりを想定していたのですが、そういうメンタルの部分を重視した考え方って、立花コーチが活動を始めた頃は相当斬新だったでしょうね…野茂さんが球団との軋轢を顧みず立花さんに固執した理由が、この本を読んでわかった気がしました。

 

なぜ皇居ランナーの大半は年収700万円以上なのか/山口拓朗

 

 

 物欲しげなタイトルに、ランナーであるワタクシはビミョーにイラッとしたりするのですが…

 このタイトル自体、RUNNETというランナー向けのサイトの匿名アンケートに基づくもので、その信憑性について誰も検証をしていないという甚だ根拠に乏しいものです。

 まあ、端的に言えば、こんなにキモチいいから、みんなも走ろうぜ!ということなのですが、それをカラダにいいとかというのは直感的にわかるのでいいのですが、アタマがよくなるとか、ストレスが軽減されるとか、ある程度科学的に正当性が証明されていることとはいえ、いろいろとこねくり回して、こーんなメリットがありますよ!って…そんな副次的なメリットにそそられて走ろうかなって思う人がおるんかな?

 結局ハマってしまって、早ラン歴6年となったワタクシとしては、走る人が増えるのはウレシイ部分もありますが、そういうサモシイ根性で始めても、あんまり長続きしないような気がするんですけどね…

 まあ、走ってみたいけど最後の一押しが欲しい人は手に取ってみてもいいんじゃないっすか!?

 

採用基準/伊賀泰代

 

採用基準

採用基準

 

 

 長らくマッキンゼーで採用業務や新人育成に携わ
って来られ、勝間和代さんを採用されたことでも知
られ、最近は社会派ブロガーちきりんさんの正体で
はないかと取りざたされることも伊賀さんの著書で
す。

 あくまでもマッキンゼーの砕よ基準そのものでは無いということですが、伊賀さんがマッキンゼーにおいて求めていた人材と、一般的に日本企業が欲しがる人材に明確な違いがあるということで、そのあたりにも触れられています。

 日本企業では楠木新さんの一連の著書にもありますが、優秀な人を欲しがりながらも結局は周囲と“ウマくやれる”人を求める傾向が強いんですが、伊賀さんがマッキンゼーの採用担当として求めていた人材は、

 1. リーダーシップがあること
 2. 地頭がいいこと
 3. 英語ができること

ということなんですが、日本では1.と3.を満たす候補者が極めて少ないということです。

 また日本ではリーダーシップについてかなり誤解が多いということで、「採用基準」をタイトルにしているものの、かなりリーダーシップ論についても紙幅を割かれています。

 伊賀さんのおっしゃるリーダーシップというのは、必ずしも「人の上に立つ」ことを意味するワケではなく、成果の最大化に向けて自律的に行動できる人だということで、必ずしも集団のトップのみである必然性は無くて、個々の構成員がリーダーシップを発揮して行動することを求めるようです。

 どうしても日本の企業では組織のシガラミに拘泥されてなかなか目的に向かって一直線に…というワケにはいかないことが多いのですが、そういった姿勢を持つ人が増えて行かないと、日本の生産性の低さが解決されず、グローバルな市場から取り残されかねないですよね…

 

活字アイドル論/小島和宏

 

活字アイドル論

活字アイドル論

 

 

 以前『中年がアイドルオタクでなぜ悪い!』を紹介して、アイドル本にありがちな、ひたすら自分が推すアイドルを礼賛しようとするスタンスではなくて、「プロ」のアイドルライターらしく、熱烈な「推し」を持ちながらも最後の一歩を踏み込まないスタンスが印象的だった小島さんの「活字のみ」のアイドル論です。

 この本では元々週刊プロレスの記者だった小島さんがどんな経緯でアイドル関連の著述を手掛けるようになったのか、プロレスでの取材・著述の経験がどのようにアイドル関連の記事を手掛ける際に活かされているのかということを語られます。

 この本の冒頭でも豪語されていますが、ほとんどアイドルの写真のないアイドル本という、以前だったら企画段階でボツになるような本なのですが、プロレスライター時代の経験を活かし、実際に現場にいなかったとしても、ありありとその時の様子を思い浮かべることができるような徹底した現場志向、ファン目線の著述を心掛けておられるということです。

 また、そういうスタイルを確立する過程で、取材対象となるアイドル本人たちとの距離感をどのようにするかという葛藤についても語られます。

 対象がアイドルなんで軽く見られがちですが、読んでいて沢木耕太郎さんがニュージャーナリズムの方法論への逡巡を思い出させたのですが、取材対象の対峙と言う意味で何ら変わることはないんだなぁ…と感じさせられました。

 

負け美女/犬山紙子

 

負け美女 ルックスが仇になる

負け美女 ルックスが仇になる

 

 

 情報バラエティ番組なんかでコメンテーターとしても活躍されている犬山さんのデビュー作です。

 元々、ブログやツイッターなんかで友人である美女の生態をアップしていたのが人気になり、この本でデビューをしたということです。

 よく美女ほど縁遠いなどといいますが、この本で扱われている美女たちは必ずしもそんなワケではないのですが、美女たちが必ずしもシアワセな恋愛をしているワケではなく、DVやストーカーまがいの被害に遭うこともあったり、自ら(としか思えないような勢いで)異常ともいえる恋愛に飛び込んでしまうようすを、イラストを交えてコミカルに描きます。

 常見さんのジェンダー論の推薦図書の一環かと思って手に取ったのですが、かなり柔らかい内容で、え、そんな美女がそんなことを!?とオドロキながら、メチャメチャ面白いので、軽い暇つぶしの一冊として手に取ってみて下さい。

 あ、電車の中では読まないことをおススメします。(面白すぎて、アヤシイ人になってしまいますので…)