2016年に惜しまれながら亡くなった“ミスターラグビー”平尾さんの死後に、生前の著書のリーダー論に関する部分を中心としたエッセンスをまとめるカタチで出版された本です。
平尾さんは、「スクールウォーズ」のモデルとなったことで知られる伏見工業ラグビー部での全国制覇、同志社大学での大学選手権4連覇、神戸製鋼での日本選手権7連覇など輝かしい実績をモノにされるなど類稀な実績を上げられたラガーマンなのですが、その原動力となったのが、根性論がハバを利かせていた当時のスポーツ界、特にその色彩の濃かったラグビー界において、純粋にそのスポーツを「楽しむ」ことにより、よりその競技に関するスキルを陶冶していくことで、より高みに到達しようという、当時では画期的なアプローチで成果を残したことで知られます。
ワタクシ自身も平尾さんのそういう考え方に陶酔して、著書を読みふけった時期があり、このブログでも数多く著書を紹介してきました。
まだまだ平尾さんが理想とするスポーツのあり方の理想には遠いものの、徐々にスポーツを「楽しむ」ことの効用は理解されてきているようには思えますが、逆にその「反作用」と言える現象もあり、平尾さん自身が晩年の著書で、真逆とも言える「警告」を発しなければならない状況にもなっていたりして、なかなか真意が具現化されたとは言えないようです。
でも、残された我々は、スポーツの強化という意味だけではなく、日本人の人生を豊かにするという意味でも、平尾さんの真意を問い続けて行かなければならないようです。