テレビとジャニーズ/太田省一

 

 

 ムスメたちがジャニオタだということもあって、最近はジャニーズを気にしてテレビを見ることが多いのですが、この本は以前SMAPの解散を期に、その事績を追った『SMAPと平成ニッポン』を紹介した方が書かれた、テレビにおけるジャニーズ史を意図した本だということです。

 

 ただ、実際はWebメディアでのテレビにおけるジャニーズタレントの活躍ぶりを紹介する2015~2017年の連載に、カタチだけわずか20ページ余りの編年紀を添えただけという、かなりザツな作りの本ですが、テレビで求められるジャニーズの役割というモノがなんとなく浮かび上がってきます。

 

 昔は、カッコよくて、ダンスもできて(歌はヘタだけど…)って感じで充分だったのかも知れませんが、段々と求められるモノが増えて行って、俳優としての演技はモチロン、ウマくMCをこなすとか、キャスターとしてのコメント力を求められた理だとか、芸人顔負けのギャグをカマすとかにとどまらず、TOKIOの『ザ!鉄腕!DASH!!』では農業やDIYまでこなしたりとか、多くのタレントが料理の腕もなかなかのモノだとという風に、恐ろしく才能を発揮する範囲が広がってしまっているようです。

 

 しかも、グループ単位で、オトコ前担当だとか、ギャグ担当だとかという風に役割がある程度明確になっており、ある意味、モテるオトコのショーケース的なカタチになっており、どこかのグループに誰か「推し」になるような人がいる状況というのがなかなかスゴいビジネスだな、と感心します。

 

 この本のそれぞれのトピックが書かれた頃は、まだSMAPも健在でしたし、ジャニー喜多川さんの死後の雪崩の様な退所劇も影もカタチもない頃でしたし、まだまだテレビのメディアとしての影響力も絶大な物があった頃で、随分状況は変わって来ていますが、今後の動向が気になるところです。