ハードワーク/エディ・ジョーンズ

 

 

 ラグビー日本代表の前ヘッドコーチで、イングランドW杯において、スポーツ史上最大のアップセットと言われた南アフリカ撃破の立役者となったエディさんの著書です。

 主に「勝つため」の準備について語られているのですが、日本代表においては、相当マインドセットの準備に苦労されたということに触れられています。

 要するに“負け犬根性”の払拭が大変だったということなんですが、ダメな理由を探すのではなく、どうやったら目的を果たすことができるのか、という方向性でモチベートされたようです。

 また、日本人は“ミス”をしないことを重視する傾向があるのですが、そうなると逆に“トライ”する姿勢を損なってしまうということで、如何に選手自らが自律的に“トライ”できるような状況を作ることに腐心されてきたようです。

 これまでエディさんの取組を取り上げたドキュメンタリーなんかを、このブログでも取り上げて、その周到な準備を準備してきましたが、そういうアプローチがメンタル面でも行き届いていたことに、改めてスゴみを感じされられた次第でした。

 

 

シュガーマンのマーケティング30の法則/ジョセフ・シュガーマン

 

シュガーマンのマーケティング30の法則  お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは

シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは

 

 

 アメリカのカリスマ・マーケッターであるシュガーマンさんがマーケティングで活用できる、顧客の30種類の心理的なトリガーについて、その活用法を紹介されます。

 こういう顧客の心理面を活用したマーケティングの手法って、ブラックなイメージのある人が少なからず居られると思いますし、敢えてそういう側面を前面に押し出して訴求する本も多いのですが、この本は全くプレーンで、かつアメリカのビジネス書にありがちな周りクドい長々とした説明ではなく、30種類それぞれの心理的なトリガーについて、端的な説明とわかりやすい事例を挙げられているので、ワタクシのようなド素人でも感覚的に理解できます。

 限定販売とか返報性の法則とか、有名な手法も取り上げられているので、マーケティングに通じた方にとっては耳タコかも知れませんが、こういう風に網羅的に取り上げられているということもあるので、手元に置いて辞書的に使えるんじゃないでしょうか?

 

山見式PR法/山見博康

 

山見式PR法~メディアが取り上げたくなる5つの切り口

山見式PR法~メディアが取り上げたくなる5つの切り口

 

 

 企業のPR活動を支援されたきた方の著書です。

 メディアに自分の会社のことを紹介してもらうなんていうと、中小企業にとってはハードルが高いと思われる方が多いと思うのですが、それだけに、広告と比べると高い信頼を得られることが期待できます。

 PRでもニュースリリースをメディアに送りっぱなしでは取り上げられることは少なくて、できる限り記者個人にコンタクトすることが重要なようです。

 記者自身もニュースにできることを探しているのであるから、キチンと自分たちの価値を訴求することができれば、ちゃんと応えてもらえるということです。

 あきらめずに、別のメディアにあたっていくことで、自分の価値を分かってくれる記者を探すことも重要なようです。

 きちんと“価値”を作ることができていて、労を惜しまず伝えていくことができれば、実はPRのハードルは意外と高くないのかもしれません。

 

 

錬金/堀江貴文

 

錬金 (文芸書)

錬金 (文芸書)

 

 

 堀江さんが、自らをモチーフにした主人公がパソコンの黎明期にタイムスリップするストーリーの小説です。

 主人公がタイムスリップして出会うのが、アスキー創業者の西さんをモデルにしたと思われる人物で、その人物がビル・ゲイツをモデルにした人物と親交していく様子に主人公も絡んでいくというモノです。

 タイムスリップなんていうとチープな舞台設定だと敬遠する向きもあると思うますが、パソコンの黎明期の熱気を思い起こさせるようで、読み物としてもかなり読み応えがあります。

 それよりも堀江さん自身が、なぜそれだけのチャンスがありながら、日本人が世界をリードするようなOSをモノにできなかったのか…と悔しがっておられるような気がしました。

 ちょっと想定はキワモノっぽくていただけませんが、おススメです。

 

 

役に立たない読書/林望

 

 

 リンボウ先生の読書論です。

 「読書論」といっても、先日著書を紹介した樺沢紫苑さんの『読んだら忘れない読書術』にような実用的なモノではなく、どちらかと言うと豊かな教養を身に付けると言った側面の強い内容です。

 そういう趣旨で読書をするのであれば、やたらと数を読むことが重要なワケではなく、「自分にとって「心の栄養」となるような本を読」むことが重要で、それを自分なりに熟読玩味することで、徐々に教養が醸成されていくようです。

 よくエライ人たちが古典を読むべし!とおっしゃいますが、事態を超えて読み継がれるものにはそれだけの価値がある、なんてケムに巻かれたような理由に釈然としない人も少なからずいらっしゃると思うのですが(ワタクシもその一人なんですが…)、
この本では、古典に書かれていることの中にも人の営みがあり、ぜんざいの我々と何ら変わらぬことで悩んでいたりする姿が描かれていて、そういう姿を味わうことで人情の襞のようなものが自分の中にできていくから…とおっしゃっているように感じました。

 あと1つ、子供に本を読んでもらいたい親として重要なリンボウ先生からの忠言!

 「読書と引き換えに何も求めないこと」…蓋し、至言ですね。

 

ズルい食品ヤバい外食/河岸宏和

 

知らないと危ない! ズルい食品 ヤバい外食

知らないと危ない! ズルい食品 ヤバい外食

 

 

 食の安全を啓発し続ける河岸さんの著書です。

 今回はスーパーと外食両方が取り上げられており、これ1冊買えば基本的な安全対策ができそうです。

 まあ、書いてあることは既刊本の内容とそんなに変わりませんが、最近の著書では、よく対応できているお店だけでなく、ダメな店の実名を出すようになってきていて、大丈夫ですか?と思うのですが、読者としては大変ありがたいところです…くれぐれも夜道には気をつけてください。

 相変わらず誤解されがちなコンビニの食品管理を高く評価されているのですが、あの流通システムは食の安全に関する各種施策をも可能にしていたんですね。

 あとは食品添加物について今回結構詳しく触れられているのですが、添加物には大きく分けて「美味しく食べるのに役立つ」モノと「店が設けるのに便利」なモノの2つがあって、添加物だからといって毛嫌いするんじゃなくて、分けて考えることをススメられています。

 また同じく日本人がこだわりがちな国産の食品なのですが、野菜なんかだと、実は輸入品の方が厳格に検査されているところもあって、必ずしも輸入品がダメというワケでもないようです。

 特に小さいお子さんの居られる過程ではこういう本を読んで、基本的な安全対策を振り返っておきたいところですね。

 

ポピュリズムとは何か/水島治郎

 

 

 先日紹介したポピュリズムに関する本が、著者自身の橋下徹への私怨のうっぷん晴らしに付き合わされるというハズレ本だったのですが、気を取り直して…

 BrExitだったり、アメリカのトランプ大統領就任だったり、フランスでの国民戦線への躍進など、ここ数年西欧においてポピュリズムが蔓延しています。

 ただポピュリズムが必ずしも“悪”というワケではなく、市民の意図を反映するという民主主義の本義からして、本質的にそういう要素を含んでいるワケなんですが、ただそれを「悪用」しようとする向きもあります。

 なぜこういった「暴走」的な現象になるかというと、イギリスのBrEixtの場合に「置き去りにされた(Left Behind)」と言われる人たちが、移民の流入による失業率の向上と言った現象に反対して…という具合で、トランプ大統領の当選も同様の力学が働いたがゆえだそうです。

 そういう内在する「毒」をどのように乗り越えていくのかで、民主主義の真価が問われている…と問いかけられてこの本を締めくくられていますが、如何にもう一度成熟を取り戻すかが大きな課題になりそうです。