「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い/山田真哉

 結局、ここまで手にとって見ました。
 
 「禁じられた数字」の下巻と言うことで、上巻で数字の持つパワーとその活用の
方向性について紹介されていましたが、こちらでは、数字の活用、さらにそのダーク
サイドにフォーカスした内容になっています。

 結構、事例というか、物語をベースに語られているので、久々にフォトリのフォー
マットに忠実に取り組んでいる身としては、少々厳しい部分はあるのですが、全体の
構造がしっかりしているので、意外と捕らえやすかったです。
 
 やっぱり、割り算とか言い換えとか、上巻で紹介されていたテクニックを用いて、
都合のいい数字をもっともらしくみせることで、ある意味、人をダマす手口について、
物語形式で語られています。
 まあ、割と分かりやすい粉飾を取り上げているので、実際にはもっと巧妙な手口で
「ダマす」のでしょうが、ここに取り上げられている手口でも、十分に驚きだったり
します。

 あとは、計画の弊害についても取り上げられていて、確かに経営の効率向上という
意味では、ある程度計画の効用と言うのは認められるのでしょうが、それが妙な足枷
となって、本来あるべき方向へと進むにあたっての障壁になる危険性について、述べ
られています。

 数字の持つパワーを賞賛しながらも、それを過度に信頼する弊害を紹介すると言った、
著者のバランス感覚が全開になった好著だと思います。