雨の降る日曜は幸福について考えよう/橘玲

雨の降る日曜は幸福について考えよう Think Happy Thoughts on Rainy Sundays

雨の降る日曜は幸福について考えよう Think Happy Thoughts on Rainy Sundays

 橘さんが日本経済新聞の連載で書かれていたものをまとめた本です。

 この本が出版されたのは2004年で、バブル経済崩壊後、日本経済が、
いわば“底”にあった頃で、これまで信じられていた、土地の価値や
終身雇用制といった「神話」が決定的に崩壊した時期です。

 その頃から、最近の著作である『日本人というリスク (講談社+α文庫)
まで、ほとんどといっていいほど、おっしゃることの基盤は変わって
いません。

 当然、そのときの経済状況などの描写が加わっているので、内容は
微妙に違うのですが、ベースとなっていることについては、ほぼ同一
です。

 だからといって食傷感があるのかというと、まったくそういうわけ
ではなくて、橘さんの仮説の堅牢さに驚くばかりです。

 橘さんが一貫して書かれている、制度の歪みを積極的に利用するこ
とで、ベネフィットを得ることができる(経済用語で、裁定取引
いいます。)と言うこと、とこれまで信じていた「神話」にすがりつ
いていると、それこそ身ぐるみ持っていっていかれかねない、という
ことのようで、サラリーマンでマイホーム持ちという立場のワタクシ
にとっては、改めていろいろと考えさせられました。