専業主婦は2億円損をする/橘玲

 

専業主婦は2億円損をする

専業主婦は2億円損をする

 

 あの橘さんが女性の幸福について語ります。

 ターゲットを若い女性に絞っているからか、いつもの橘さんの、明るいテーマを語られていてもどこか拭い難い“闇”を感じさせるところが、この本では希薄です。

 あとがきでこの本を書かれた経緯を紹介されているのですが、編集者からこのテーマを持ちかけられて「なぜ私が専業主婦の話を書くんですか?」と戸惑われたということなのですが、ネットで「専業主婦になって3億円をドブに捨て…」と橘さんが書かれていたのを見た編集者が食い下がって出版に繋げたということです。

 同じくあとがきで書かれているのですが、この本は前作の『幸福の「資本」論」を女性向けにカスタマイズされたモノだということで、高度成長期時代を陰で支えた専業主婦が最早幻想であるということが指摘されて久しいなか、それでも未だに専業主婦を志向する女性がいるということで、様々な側面からどうやって生きて行くのが女性に取ってシアワセなのかということについて考察されます。

 自己実現がどうやったら可能なのかということについて、もっと自由に考えていい空気が、少しずつではあるけれども広がりつつあり、自分自身でもどうなったらシアワセなのかということについて、ツッコんで考えた方がいいんじゃないかということと、パートナーとそういうことを共有することの重要性を同時に指摘されています。

 “働き方改革”は企業寄りの時代に逆行するようなモノになりつつありますが、社会をどう動かして行けば多くの女性がシアワセになれるのか、ということがひいては少子化対策につながるんじゃないのか、ということをこの本を読んでいて感じました。