ご自身は、短絡的に「答え」を求めるようなビジネス書を読まない、とおっしゃられている出口さんが書かれた「ビジネス書」です。
それにしても、読書家の書く本と言うのは、なぜかくも良書が多いのでしょうか…出口さんのこの本も典型的な好例となっています。
日本のビジネスパーソンが「決断」することに苦手意識を持つようになったのは、ひたすら欧米のロールモデルに追いつけ追い越せとシャカリキになって働いた1940年体制に原因があると、出口さんはおっしゃいます。
というのも、自分で考えて決断しなくても、欧米のロールモデルの実例を一生懸命マネすれば成果がでたので、下手に自分で考えて「決断」する必要がなかったからだそうです。
しかし、もはやそういう状況でなくなったのは言うまでもありません。
出口さんによると、「決断」するというのはシンプルなことで、ただ単にベネフィットの高い選択肢を選べばいい、ということなんですが、同時に多くの人が判断をする際に、夾雑物を考慮に入れてしまっていることを指摘されています。
そういうことを避けて、冷静にベネフィットの多寡で物事を判断しようとするために、判断のよりどころとして、
・数字
・ファクト
・ロジック
を用いることを勧められています。
客観的な数字を元に、実際の現象と照らし合わせて、筋道立てて説明することにり、上司を始めとするステークホルダーをキチンと説得できる、ということです。
その中で、扱いの難しい「ファクト」の捉え方についても、ご自身の「失敗事例」も含めてわかりやすく説明されています。
まあ、答えを自分で考えることも重要ですが、ここまで端的に素晴らしいモノを書かれると、ビジネス書も悪くないでしょ、と言ってみたくなる気がしました。