バカが多いのには理由がある/橘玲

 

バカが多いのには理由がある

バカが多いのには理由がある

 

 

 橘さんらしい、刺激的なタイトルの本です。

 この本で言う「バカ」と言うのは、何か目立った事象が起こ
った際に、ある意味、感情的なリアクションをして、それに
対して非難したり、悲しみを露わにしたりと言った、単純な人
達を指すようです。

 確かに、そういうリアクションをしてしまうのは、やむを得
ない部分もあるのですが、そういう感情に任せたリアクション
が大勢を占めてしまうことで、その事象が引き起こす問題の解
決を難しくしてしまうということを、最近起こった「事象」を
引き合いに出して語られています。

 例えば「派遣切り」だと、ちゃんとマジメに働いている派遣
の雇用を守ろう!と言うのは正論ではありますが、そっちの方
向に規制が進んでしまうと、企業側としては、じゃあ、派遣を
雇うのは、やーめた!となってしまうのが、ちょっと突っ込ん
で考えてみればわかるはずなのですが、そういう感情的なリア
クションを、この国の為政者たちがしてしまうことに、戦慄す
ら覚えます。

 この本では取り上げられていないのですが、今、沖縄で起こ
っていることも、これまで、沖縄の人たちが忍従を強いられ続
けた結果、ああいうトップが出てきたというのは、重々承知し
ているのですが、ああいう正論一本槍になってしまうことで、
より解決が難しくなってしまった、この本を読むと、そんな気
がしてなりません。