「働き方」の教科書/出口治明

 

 

 日本生命出身で、ライフネット生命保険を立ち上げられた方の本です。

 出口さんは非常な読書家として知られ、その教養の広さ、深さは有名だということですが、本を読んでいて一行一行でそのことを納得させられます。

 この本は「働き方」がテーマなのですが、日生という割と体育会系というか、旧来の「The 日本企業」という感じの会社で育った型とは思えない柔軟なコメントが冒頭から炸裂します。

 例えば、デートと残業のどっちが大事なんだ?ということで、出口さんは「考えるまでもなく、デートに決まっている!」とおっしゃいます。

 この本のメインテーマである「働き方」なんですが、20代~50代に至るまで、各世代の取組み方について、出口さんの考えを紹介されています。

 その中で、バブル期以降根本的に「働き方」を考え直す必要があるということなんですが、ほとんどの企業で、それが出来ていないということです。

 というのも、バブル期以前と言うのはアメリカの先進的な企業のモデルをまねること賢明に追い求めていけばよかったのが、これからどうするかについて、自分たちのアタマで考えなくてはいけなくなって、ある意味途方に暮れているところもあるということです。

 ということで、これからは「自分の頭で考えて、自分の意見を表明できる」という資質が求められていて、そのことが日本企業に取って、次の一歩になるのかもしれません。

 サブタイトルにある「50代」なんですが、そういう「自分で考える」ということについて、50代が果たす役割が大きいということで、若い世代に「バントタッチ」していくために、積極的に、若い世代の活躍を、これまで培ってきた経験や知識によってサポートしていくべきだ、とおっしゃいます。

 それは、起業においても同様で、自分たちだけが安全地帯でのうのうとしているのは卑怯で、自分たちが若い世代に、起業の範を示していくべきだ、ということです。

 感激の余り、まとまりのない長い文章になってしまいましたが、素晴らしい書き手を発見したワタクシの喜びが伝わりましたでしょうか?(笑)