
経済ニュースが10倍よくわかる「新」日本経済入門 (アスコムBOOKS)
- 作者: 三橋貴明
- 出版社/メーカー: アスコム
- 発売日: 2010/06/21
- メディア: 新書
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経済評論家の三橋さんによる、2010年当時の日本経済を取り巻く状況に関する評論です。
「入門」とありますが、理論を体系的に紹介されているという訳ではなくて、財政状況や日本経済を取り巻く周辺諸国の経済状況と言ったトピックについて語る、といった感じの本です。
財政状況に関するところで言うと、三橋さんはあまり財政赤字それ自体について問題視されておらず、プライマリーバランスをキッチリとキープしている国自体が稀有であることと、デフレによって経済がどん底状態にある2010年の状況を鑑みると、むしろ積極的な財政出動が求められる状態にあるから、と言うことのようで、累積の赤字については、長期的な観点で徐々に減らしていく必要性について言及されてはいるものの、その時点で、その優先順位は決して高くない、というスタンスのようです。
また、当時絶頂にあった中国経済については、世界経済において主要な役割を期待する声もあった訳ですが、三橋さん自身は、懐疑的な見解を示しておられて、人民元の変動制への移行がない限り、そういう立場になることはあり得ず、変動制に移行するということは、その優位の源泉を失うことになり、いずれにせよ不可能だとおっしゃられています。
歯切れのよい論理の展開で、多少意見の偏りを感じる部分も無きにしも非ずですが、そんなに経済に詳しくなくても、外形的な状況が理解できる好著です。