- 作者: 半藤一利,佐藤優
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2016/05/20
- メディア: 新書
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『昭和史 1926-1945』の半藤さんと「知の怪人」佐藤さんが戦前の歴史から今後の日本のあり方を語るという本ですが、豪華な二人の共演に期待に胸を膨らませて手に取ったのですが、さらにその期待を軽く上回る面白さでした。
半藤さんの緻密な取材に裏打ちされた昭和史の裏側に、佐藤さんのロシア専門家としての視点からの開設が加わるという、何とも贅沢な構成です。
なぜ昭和初期の戦争から将来を見通そうとするのかというと、実は日本人のメンタリティというのは、その頃からそんなには変わっていなくて、同じようなタイプの行動が見受けられるからだということです。
お二方共通のご意見として、陸海軍の思考癖というものが、今の官僚に、色濃く引き継がれているとおっしゃいます。
半藤さんが「無責任・無反省」とおっしゃっていますが、確かに戦前、大きな事件を起こしたはずの軍人が何の咎めもなく次の任地に赴こうとしたという例を聞いたことがありますが、佐藤さんもご自身の外務官僚としてのご経験から、官僚のそういった性格について同意されています。
ということは、もう一度同じ「過ち」を繰り返す蓋然的なリスクがあるということで、国民はその辺りをちゃんと注視していかなければならないようです…でも、「無反省」というのは軍部や官僚だけじゃなく、日本人一般にも共通する特徴のようですが…