脳科学者の中野さんが今回は“不倫”をする人と、それを叩く人を脳科学的な観点から語られます。
ただ、脳科学的な話を中心に語られながらも、それだけにとどまらず背景となる進化論的な話や社会環境などの話も交えて語られていて、かなり深遠な“不倫”論となっています。
以前このブログで紹介した不倫関係の本でも触れられていましたが、元々人間は生物学的な観点から見て一夫一婦制には向いていないということでしたが、中野さんもこの本で同様のことをおっしゃっています。
あくまでも農耕を中心とした社会において、種の保存の上で有利だったから広まったのと、それを後付けで正当化するような宗教上や社会制度上の規範があって、制度として社会規範として定着したにすぎないということで、元々遺伝子的には旺盛な生殖への欲求の延長線上としての“不倫”というのは、いくら社会規範が厳しくても止めようのないことのようです。
またそれを批判する人が絶えない現象、特に何故か女性の方が責められがちな傾向についてもその原因を紹介されています。
“不倫”というある意味下世話なに流されかねないトピックで、ファクトと論理を精緻に積み上げて、ここまで読ませるモノにするとは中野センセイ、なかなかの書き手ですね!?