「朝ドラ」一人勝ちの法則/指南役

 

「朝ドラ」一人勝ちの法則 (光文社新書)

「朝ドラ」一人勝ちの法則 (光文社新書)

 

 

 このブログでも『空気のトリセツ』や『キミがこの本を買ったワケ (扶桑社文庫)』を紹介した、マーケティングのベースとなる個人の消費行動等に関する本などで知られるメディアプランナー集団の「指南役」がドラマの成功の秘訣を語られます。

 この本が書かれた2017年当初、朝ドラが一時期の不調期を脱して上げ潮にあったのに対し、民放の連ドラが“月9”でも視聴率が1ケタになるなど、なかなか浮き上がりの兆しが見られない頃だということです。

 朝ドラが紆余曲折を経て、この本で「7つの大罪」とおっしゃる成功要因を踏まえた“勝ちパターン”を忠実に踏襲することで復活したようですが、『おしん』や『青春家族』などの時折「7つの大罪」を外れて大成功を収めた作品がチラつくこともあり、最近では「7つの大罪」のうちの「ぽっと出のヒロイン」を逸脱して有村架純広瀬すずといったエスタブリッシュメントを起用することが続いていますが、それが悪影響を及ぼさないのか、一抹の不安を感じますが…

 それに対して連ドラが不振に陥ったのは、ただただ脚本を軽視したことに尽きるということで、ドラマにおいてキャスティングの比重が重くなり過ぎたのと、芸能プロダクションの交渉力が強くなり過ぎたが故に、“数字の取れる”俳優をキャスティングする代わりに、同じ芸能プロダクションの売り出し中の新人をねじ込もうとすることが常態化し、それにムリヤリ脚本を変えて、役を“作り出して”でも押し込むことが増え、脚本がどんどんツマラナくなり、ドラマ離れに歯止めが利かなくなったようです。

 そんな中で脚本のチカラを見せつけたのが『逃げるは恥だが役に立つ』であり、この本では仮に主役が星野源新垣結衣でなくても、“恋ダンス”がなくても、主題歌が星野源じゃなくてもヒットしたんじゃないかと指摘されています。

 アメリカの例を引いて、日本の芸能プロダクション制度が曲がり角に来ているとまで指摘されていて、あまり視聴者をバカにしているとドラマ離れがより進みかねないリスクがあるようです。