家計再生コンサルタントとして、かなり壮絶な状況にあるクライアントの家計再生を支援してきた横山さんが、そうならないためのヒントを紹介された本です。
『37歳独身年収300万円』とタイトルにはありますが、メインターゲットはそういう人だとは思うのですが、そういう年代の人にとっては既婚者であってもかなり実践的な蓄財の方策を紹介されているのですが、特にそういう境遇にある人がリスクが高いということでメインターゲットにされているんだと思われます。
それまでそれほどのトラブルもなく暮らしてきた人でも、病気で入院したり、親の介護をしなくてはならなくなったりといった、ちょっとしたキッカケで貧困の負のスパイラルに陥る危険性はかなり多くの人に当てはまるということで、仮にそうなったとしても一定期間しのげる準備をしておくことで、乗り切って老後の備えまで視野に入れた資産形成ができるようにしておくための方策を、37歳から40歳くらいまでの期間でやっておくということを紹介されています。
突然のトラブルで家計が苦境に陥る人々の多くは、モチロン貯蓄が無い人が多いのですが、そういう人たちに共通するのは月々の支出額をあまり把握できてきないということで、これまでの横山さんの著書でも再三強調されてきたように、まずは支出額の把握をすることを勧められています。
その上で、支出の内容を「消費」「浪費」「投資」で色分けし、さらには口座を「使う口座」「貯める口座」「増やす口座」に分けて管理し、「増やす口座」に蓄積したお金で、インデックス投信を購入し、Buy & Holdで長期的な資産形成を目指すことで、危機に強い家計を構築する方策をシステマティックに指南されているので、かなり実践的に役立つ内容だと思えます。
その上で、その後の結婚~老後のライフサイクルであり得るライフイベントやハプニングについても言及されておられて、ある程度この本のコンセプトに沿って家計の運用を進めて行けば、かなりの確率でリスクを避けられるんじゃないかと思えます。
昨今の様なコロナ禍でもわかるように、現代の日本ではホンのちょっとしたキッカケで貧困に陥るリスクがあり、一旦貧困に陥ってしまうとなかなか元には戻れないという構造的な問題もあり、予めこういったリスクヘッジをしておくことは、実はかなり喫緊の課題なんじゃないかと思えますので、ぼんやりとした不安のある方は、是非とも手に取ることをおススメします。