女性官僚という生き方/村木厚子、秋山訓子

 

 

 最近ビミョーに著者ループしている元厚労省事務次官の村木さんが、女性官僚ということにフォーカスした著書があると知って手に取ってみました。

 

 この本はご自身と、様々なバックグラウンドを持つ女性官僚たちのご経験を通して、キャリアと結婚、子育てというプライベートを両立について語られます。

 

 中央官僚の官僚というと、その激務ぶりが取り沙汰されることが多く、とてもじゃないけど結婚や出産といったプライベートとの両立は難しいんじゃないかというイメージがあるのですが、それでも少なからぬ人たちが両立を果たして、中には相当な地位まで昇進される人が居られるようです。

 

 その中には外交官を始めとして海外に赴任する方もいらっしゃるのですが、ダンナさまや親御さんといったプライベートでの協力者だけでなく、職場において女性官僚のネットワークや上司や同僚の協力などを得て乗り切って行かれる姿を紹介されます。

 

 確かにこの本で紹介される事例は、周囲の理解や協力が得られた幸運な成功例であって、モチロン両立できずに中央官庁を去って行った人も少なくないということなのですが、少しずつキャリアを開拓して行った事例が増えて行っていることで、女性官僚のネットワークの中で成功体験が蓄積され、両立する女性官僚が少しずつ増加して行っているということです。

 

 ただ、その成功例が女性官僚やその周辺の同僚の個人的な努力に委ねられている部分が大きいように感じられ、組織として両立を支援する動きが少ないように思われますが、今後は制度面での両立の支援が課題といえるかも知れません。

 

 今後、ダイバーシティが重視される中で女性官僚の視点は重要なはずで、政策上の課題として、民間に率先して取り組んでもらいたいところです。