ヒキコモリ漂流記[完全版]/山田ルイ53世

 

 

 お笑い芸人髭男爵の片割れ山田ルイ53世さんの半生記で、引きこもりに入るところから、その状況を抜け出して芸人デビューを果たし、結婚してお子さんを持つまでを語られた内容となっています。

 

 山田さんは相当優秀だったようで、ロクに指導もできない個人塾にしか行かなかったにも関わらず、神戸の名門校六甲学院中学に入学されたのですが、そこでウンコを漏らしたのをキッカケに引きこもり生活に入ることになっています。

 

 ただ、あくまでもウンコの件は単なるキッカケに過ぎず、成長の過程でかなり危うい兆候がプンプン感じさせられます。

 

 というのも、かなり父親がキビシく躾けようとしていて、山田さん自身もその期待に添おうと結構ムリをしていたように見受けられ、文武両道の理想的な姿を演じようと無理を重ねて、ウンコの件でその限界を超えてしまったんだと感じられます。

 

 結局その後、親から見捨てられて家を追い出されるようなカタチになり、苦難を経て独力で引きこもり生活から抜け出すことになるのですが、完全に親子関係は断絶してしまったようで、正直期待するだけしてダメになったら見捨ててしまうという親の身勝手な姿勢に怒りを覚えますが、そういう子供への期待の危うさに感じます。

 

 ワタクシ自身も二人のムスメがいて、それなりに期待するところはありますが、だからと言って何かを押し付けてしまうことには躊躇を感じますし、ましてやこういうリスクがあることを知ってしまうと、なお恐ろしくなってしまいます。

 

 現在、高校3年生と中学3年生という分岐点におりますが、より口出しは控えようと思った次第でした…