AIに負けない子どもを育てる/新井紀子

 

 

 AIが東大合格を目指す「東ロボ」プロジェクトを紹介した『AI vs. 教科書が読めない子供たち』が大きな話題をまいた新井さんが、その過程で、実は多くの日本人が読解力に問題を抱えていることを知って、読解力の底上げを取り組まれた過程を紹介した本です。

 

 「東ロボ」プロジェクトの中でも、最も困難を極めたのが問題の読解だったようで、かなり複雑な問いかけをする東大の主題に対応できなかったようなのですが、MARCHレベルの大学をクリアした「東ロボ」プロジェクトなのですが、実はある程度知識レベルでクリアできてしまったところも少なからずあったようで、日本人の大半が読解力に何らかの問題を抱えているのではないかということで、日本人の読解力を測るリーディングスキルテスト(RST)を開発されたということです。

 

 RSTは読解力の中でも、係り受け解析、照応解決、同義文判定、推論、イメージ同定、具体的同定という6分野7項目を評価できるよう設定されているということで、そのテストをオトナも含めて実施したところ、かなり多くの受験者がイメージ同定、具体的同定などの分野で問題を抱えているんだそうです。

 

 こういう現象というのは、「便利さ」に依存する現代社会で避けがたいという側面もあるようで、ある意味「不便さ」を体験することで経験値を上げていくことが読解力を上げていくという側面もあるようで、IT化が進展して行く世の中を逆行して行くことが、AIが絶対マネのできないスキルを身に付ける近道であるとも言え、今後は時代に逆行することが抜きんでるための「王道」になるのかも知れません…