少年スポーツ ダメな指導者バカな親/永井洋一

 

 

 ご自身もサッカークラブで指導しながら、スポーツジャーナリストとして少年スポーツについての著書も多く出版されている方が語られる少年スポーツの”暗部”です。

 

 この本の出版は2007年ということで一時代昔のハナシにはなってしまい、この頃に比べると多少少年スポーツが置かれている状況は改善されている部分はあるとは思うのですが、この本で触れられているような指導者や親の姿勢の本質的な部分はあまり変わっていないのかな…という気はします。

 

 本来的な意味で言うと、若い頃からスポーツに取組むことの目的のひとつには、次から次へとやってくる課題に独力もしくは共にプレーするチームメイトと共にに取組むことで、自律的な姿勢だったり、周囲と協力する姿勢なんかを育むことができるはずです。

 

 それなのにオトナの勝手な都合で勝利至上主義的な姿勢を押し付けられて、途中でイヤになってしまったり、続けたとしても歪んだ姿勢が身についたりということで、かなり弊害が大きいということです。

 

 この頃だと、ラグビー平尾誠二さんがプレーを心底楽しむことによって、プレースキルを上げるだけでなく、精神的な充実や成長を促すことを提唱されていたのですが、圧倒的に少数派で、最近でこそサッカーの遠藤保仁選手や、メジャーリーガーの大谷翔平選手の楽しんで取り組む姿勢が評価されるようにはなっていますが、少年スポーツの選手では相変わらず指導者の怒鳴り声が鳴り響いたりするようです。

 

 日本のスポーツ、特にチームスポーツがなかなか強くなれないのは、こういう「指導」がハバを利かせているからなのかも知れない…と思わざるを得ません。

 

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